エッセンシャル思考を読んだので、まとめてみた
グレッグ・マキューン氏の「エッセンシャル思考」を読んだので、自分用に内容をまとめてみた。
エッセンシャル思考とは
エッセンシャル思考は3つのコンセプトでなりたっている。
- 選択
- → 「やらなくては」ではなく「やると決める」
- ノイズ
- → 「どれも大事」ではなく「大事なものはめったにない」
- トレードオフ
- → 「全部できる」ではなく「なんでもできるが、全部はやらない」
選択
世の中には魅力的な選択肢で溢れている。 よって、我々は長い間、どんな選択肢があるかにばかり目を向けており、選ぶ能力を見過ごしてきた。 しかし、選ぶことを忘れると、自分の意思がなくなり、他人の選択を黙々と実行するだけになり、無力感にとらわれてしまう。 「選ぶ」という行為の価値を再認識し、大切に実行せよ。
ノイズ
「ほとんどあらゆるものは、徹底的に無価値である」に基づき、努力の量と成果が比例するという考えを捨て去る。 やるべきことを正しく選べば、その見返りはとても大きいことを理解する。
トレードオフ
トレードオフは回避できないと心得る。 それを認めたうえで、むしろチャンスと捉え、自分のほんとうの望みを明確にし、理想的な成功を目指す。
見極める技術
エッセンシャル思考の人は、何かに手を出す前に、幅広い選択肢を慎重に検討する。 そして「これだけは」ということだけを実行する。 行動を起こす数は少ないが、やると決めたことについては最高の結果を出す。
したがって、数ある選択肢の中から本質的なものを見極めるための技術を身に付ける必要がある。
これを支える5つの要素は以下のとおりである。
- 孤独
- 洞察
- 遊び
- 睡眠
- 選抜
孤独
じっくり考えるには、誰にも邪魔されない時間が必要である。 そして、集中するためにはそうせざるを得ない状況を作る必要もある。 コレを実現するために、一人になれる場所で、時にはオフライン環境に身をおいて集中する必要がある。
洞察
情報の本質を掴み取る力も必要である。 そのためには以下の力をトレーニングするのがよい。
- 大局をみる
- 情報をフィルタリングする
- ジャーナリストの目を手に入れる
ジャーナリストの目を手に入れるというのは、カオスな環境から、誘惑に惑わされずに本質をつかみとる力を手に入れる、ということである。 これをトレーニングする良い方法として、
- 日記をつける
- 現場を見る
- 普通を知り、逸脱を探す
- 問題を明確にする
がある。
1 の日記について細くしておく。人は忘れやすい生き物であるという前提のもと、脳のバックアップ装置として日記を書く。これを定期的に見返すことで、正しく大きな流れを把握することができ、結果としてまとめてみた時に大きな違いに気づくことができる、という狙いがある。
遊び
遊びは、選択肢を広げてくれるし、ストレス軽減もしてくれるし、脳の高度な機能を活性化したりもする。 よって、本質は遊びの中から生まれることが多い。
睡眠
優秀なビジネスパーソンは皆睡眠を重視している。 睡眠を犠牲にするということは、自分自身という資産をないがしろにすることである。 継続的により良いパフォーマンスを発揮するためにも、睡眠の優先度を高く持とう。
選抜
選択の基準をとことん厳しくすることで、瑣末な選択肢を容赦なく切り捨てられる。 明確で厳しい基準があれば、誰でも不要な選択肢をシステマティックに却下し、重要な選択肢を選び取ることが可能になる。
捨てる技術
見極める技術により、「いるもの」と「いらないもの」に分類することはできた。 この章では、「いらないもの」を捨てる技術として以下の5つの技術の説明がある。
- 目標
- 拒否
- キャンセル
- 編集
- 線引
目標
たとえば、プロジェクトにおける目的や戦略を考える。 これらが「かなり明確」か「完全に明確」かでは大きく異ってくる。 「完全に明確」でなければ、人を動かせないし、目的の分からない仕事はメンバーとしてやる気がでないのだ。
「完全に明確」を実現するには、達成をどう判定するかが重要である。 例えば、「ニューオリンズの下9地区に住む世帯のために、低価格で環境に優しく、災害に強い家を150戸建設する」というメイク・イット・ライト財団の目標は、具体的でリアルであり、完全に明確である。
拒否
大切なことを知っていれば断ることはできる。 自分の中で優先順位を明確に持ち、上手に「ノー」という技術を身につけることで、周りに禍根を残さず拒否できるようになる。
キャンセル
「サンクコストバイアス」による心理的バイアスがキャンセルを難しくする。 所有しているものを上手に手放すテクニックとして、以下がある。
- 持っていないふりをする
- 「まだコレを持っていないとしたら、手に入れるのにいくら払うか?」
- 「もったいない」を克服する
- → 頑張って流されない
- 失敗を認め、成功に向かう
- → 失敗は恥ずかしいことではない
- 逆プロトタイプ
- 何かをやめるとき、本格的に撤廃する前に、簡単な形で試験的にやめてみる
編集
編集は、不要なものや余分なものを容赦なく削り、作品の本質を取り出す仕事。 ツイッターの共同創業者のジャック・ドーシーは、CEOの役割を「最高”編集”責任者」と定義した。 → 「エンジニアやサポート担当やデザイナーが次から次へとアイデアを持ちかけてくるが、その中から1つのことを実行すると決めるのがCEOの仕事である」
編集の4原則
- 削除する
- 凝縮する
- 修正する
- 抑制する (作品に手を入れ過ぎない)
線引き
隣人が、全く芝生に水をやらない人だったとしよう。あなたがスプリンクラーをつけると、水の勢いが強すぎていつも隣の芝生に降り注ぐ。 あなたの芝生は枯れそうになるが、隣人は自分の青々とした庭をみて、「今日も調子がいいな」と満足している。あなたの努力は無駄になるし、隣人はいつまでたっても水やりの習慣を身につけない。
→
塀を立てなさい。問題をあなたの庭から追い出して、隣人のもとに帰してやるんです。
しくみ化の技術
見極める技術、捨てる技術を身に付ければ、エッセンシャル思考の実践をすることは可能である。 しかし、それを継続するためにはしくみ化が必要である。 一旦やるべきことをきめたら、それを無意識に実行できるようにするということだ。
- バッファ
- 削減
- 前進
- 習慣
- 集中
- 未来
バッファ
学生37人に、卒業論文の執筆に何日かかるかという質問をしたという実験の結果が面白い。 「すべてが上手く言った場合」の見積もりは、平均で、27.4日間。 「何もかもうまく行かなかった場合」の見積もりは、平均で48.6日間だった。 しかし実際に執筆に掛かった時間をみてみると、平均時間は55.5日間で、最悪の場合の見積もりを超えていた。 当初予想した時間内で終わらせた学生は、たったの3割だった。 皆、見積もりが甘すぎる傾向にあることは認めるのだが、それでも目の前の仕事を見積もる段になると甘すぎる見積もりをしてしまう。
なぜ実際よりも短く見積もってしまうのかという理由については諸説あるらしいが、「周囲により良く見られたいから」という説がなかなか興味深い。匿名で見積もりをさせた場合には、計画錯誤が起こらなかったという報告もある。
基本的に、見積もりを守れない前提で1.5倍で考えておくとうまくいく。
また、シナリオ・プランニングを行うことで、正しいバッファを想定することができる。
- このプロジェクトにはどのようなリスクがあるか?
- 最悪の場合、どんなことになりうるのか?
- 周囲の人への影響はどのようなものがあるのか?
- そのリスクは自分(会社)にとってどの程度経済的に負担となるか?
- リスクを減らすためにどのような投資を行うべきか?
削減
「ザ・ゴール」で扱われていたボトルネック:バービーを改善する方法がこの”削減”である。 ザ・ゴール式、うまく削減するための3つのコツは以下のとおり。
- 目指すことを明確にする
- ボトルネックを明確にする
- 邪魔なものを取り除く
前進
最初から派手な目標を立ててしまうと、達成度合いが小さく過ぎて成長が感じられず、結果続かなくなってしまう。 心理学の研究によると、人間のモチベーションに対して最も効果的なのは「前に進んでいる」という感覚である。小さくても前進しているという手応えがあれば、未来の成功を信じられる。そのまま進み続けようという力になる。
大事なことは、「早く小さく」始め、最小限の進歩を重ねつつ、その進歩を目に見える形にすることである。
習慣
決まりきった行動は、賢い人の場合、高い志のあらわれである。
→ 本質的な行動を無意識化しよう
同じことを複数回実行することで、ニューロン同士の間に新たな結びつきが生まれる。 何度も反復することで、結びつきは強化され、情報の伝達がスムーズになる。 これが習慣である。
習慣化すれば、それほど努力しなくても自然にうまくいくようになり、効率も上がる。 また、習慣にすることで、一旦脳に回路がつくられるので、それまで思考や判断に使っていた領域が別のことに使えるようになる。 これにより、重要な仕事を無意識にこなしながら、同時に別の作業をすることも可能になる。
集中
最高の力を発揮するために、「今、この瞬間」だけを意識する。 過去や未来についてとらわれると目の前の大事なことが疎かになってしまう。
未来
エッセンシャル思考の考え方を心の底まで染み込んだ時、自分を内側から変える力になります。
エッセンシャル思考のリーダーシップ
- 目的が完全に明確になるまで話し合う
非エッセンシャル思考のリーダーは目的が不明確なので、中途半端にあらゆることに手を出そうとする。 その下で働かされるメンバーは、山程仕事を振られてどの方向にも少しずつしか勧めない。 どうでもいい作業に時間を費やし、重要な仕事に手が回らない。 目的を明確にすると、チーム全体の結びつきが緊密になる。 全員が同じ所を目指し、一致団結して進んでいける。 チームがばらばらになることを防ぐためには、とことん明確な目的が不可欠なのだ。
- メンバーの役割をあいまいにしない
各メンバーの役割をとことん明確に規定する → 全員が自分の役割を完全に理解し、さらに自分以外の役割も全て把握できる
PayPalの創業者ピーター・シールのやり方:全社員にたった一つの仕事だけをやらせる
- 小さな進歩を重ねているかどうか、適切にチェックする